発達障害(自閉症(自閉症スペクトラム症)・アスペルガー症候群・注意欠陥多動背障害(ADHD)等)も、障害認定基準に該当していれば、原則障害年金を請求できます。
「障害厚生年金」とは、うつ病の症状で初めて病院を受診した日(初診日)に厚生年金に加入していた方に支給される年金です。 初診日に国民年金に加入していた方は、「障害基礎年金」が支給されますが、こちらには1級と2級しかないので、3級がありません。
病気やケガなどによって日常生活や仕事に支障が出ている方が受給できる年金です。申請は原則20歳から65歳未満までに行う必要があります。初診日要件、年金の納付要件や障害の程度などの受給できる条件を満たしていれば、受給することができます。
障害年金の等級は1~3級ですが、1級が一番重い障害で以下2級、3級となります。初診日(病気のために初めて病院に行った日)に加入していた制度によって年金を受給できる等級が違ってきます。
※初診日に国民年金に加入していた場合は(障害基礎年金)1級もしくは2級のみしかありません。(障害基礎年金には3級はありません。)
※初診日に厚生年金に加入していた場合(障害厚生年金)1級、2級、3級、もしくは障害手当金(障害厚生年金には3級及び障害手当金があります。)
まずは、ご自身で障害基礎年金になるのか、もしくは障害厚生年金になるのかを判断してください。
障害年金は、(1)初診日要件(2)保険料納付要件(3)障害の程度が認定基準に該当すること、3つの要件とも満たさなければ受給できません。以下で、順にご説明します。
発達障害の症状で、初めて病院を受診した日、または初めて病名を医師から告げられた日を「初診日」と言います。
初診日までに一定以上の年金保険料を納めていることが2つ目の条件です。(保険料納付要件と言います。)
初診日の時に、国民年金、厚生年金、共済年金に加入していた方で、
上記(1)か(2)のいずれかを満たしていればOKです。初診日の時点で20歳未満であった方は保険料納付要件については問われません。ただし年間所得が一定以上であると、支給額に制限がかかる場合があります。
障害の程度が認定基準に該当するかどうかです。
障害の程度 | 障 害 の 状 態 |
---|---|
1 級 | 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの |
2 級 | 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応に当たって援助が必要なもの |
3 級 | 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの |
発達障害は具体的な、MRI検査や血液の検査の数値結果等により判断したりすることはできないため、以下の項目により何級に該当するのか一定の判断をします。
(平成28年9月より、認定基準をより具体的に示した「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が発表され、新たに審査の基準となっています。)
①~⑦項目について医師により、4段階に評価をします。
「日常生活能職の判定」の 4 段階評価について程度の軽 いほうから1~4の数値に置き換え、その平均点を算出する。
以下の ①~⑤のいずれかを医師により判断してもらう。
「日常生活能力の判定」の平均点と「日常能力の程度」の評価を、以下の表にあてはめて、障害等級の目安とする。
判定平均/程度 | (5) | (4) | (3) | (2) | (1) |
---|---|---|---|---|---|
3.5以上 | 1級 | 1級又は2級 | |||
3.0以上3.5未満 | 1級又は2級 | 2級 | 2級 | ||
2.5以上3.0未満 | 2級 | 2級又は3級 | |||
2.0以上2.5未満 | 2級 | 2級又は3級 | 3級又は3級非該当 | ||
1.5以上2.0未満 | 3級 | 3級又は3級非該当 | |||
1.5未満 | 3級非該当 | 3級非該当 |
<<表の見方>>
<<留意事項>>
障害等級の目安は総合評価時の参考とするが、個々の等級判定は、診断書等に記載される他の要素も含めて総合的に評価されるものであり得ることを留意して用いること。
診断書の記載項目
(「日常生活能力の程度」「日常生活能力の判定」を除く)を5つの分野
に区分し、分野ごとに総合評価の際に考慮することが妥当と考えられる要素とその具体的な内容例を示したもの。
ここまで、障害年金が申請できる要件についてご説明してきましたが、ここからは障害年金を受給するための具体的な手続きについての説明をしていきます。
「受診状況等証明書」とは、発達障害の症状で初めて病院を受診した日(初診日)を証明するための書類です。障害年金の受給資格や納付状況を確認するために、かならず初診日を証明しなければなりません。初診日に受診していた病院で作成を依頼してください。(診断書を書いてもらう病院が初診病院である場合は必要ありません。)
よくあるケ-スでは、
日常生活では、就労をしているので、発達障害では障害年金を受給できると知らなかった。
初診の病院は覚えているが、もうすでに20年以上経過している。
など、よくあるケ-スです。
病院でのカルテの保管期間は5年ですので破棄されている。また、病院が廃院になっていて受診状況等証明書がとれないことがあります。このような場合は、病院の診察券や生命保険等の給付申請時の診断書、診療報酬明細書、領収書、また第三者証明などの資料で初診日を証明できる場合があります。
意思に診断書を作成してもらいましょう。
(遡及請求ができる場合)
初診日から1年6ヶ月経過した日(障害認定日と言います。)に認定基準に該当する場合は、障害年金をさかのぼって請求できる可能性(遡及請求)があるので、診断書は、障害認定日から3か月以内の症状のものと現在の症状の2通の診断書を書いてもらいましょう。
病歴・就労状況等申立書とは、発病したときから現在までの経過を3~5年に区切って申告するための書類です。受診状況等証明書や診断書は病院や医師に記載してもらう書類ですが、この書類は請求者が作成する書類です。いままでの病歴や日常生活、就労状況について請求者が申告します。
特に、発達障害の場合は出生時から現在までの期間を病歴・就労状況等申立書に記載が必要なります。
受診期間の状況 | 期間内の状況 |
---|---|
受診していた期間について |
|
受診していなかった期間について |
|
「障害年金の精度を知らなった」や「発達障害では障害年金の対象疾病と思わなかった」などの理由で、長期間経過し、初診日が証明できないことや障害年金が受給できていた期間もそのままになっている場合があります。早急に障害年金申請の手続きを開始しましょう。
発達障害は、うつ病や統合失調症といった二次障害を併発している場合が多く見受けられます。二次障害を併発している場合は、それぞれの障害について別々に審査されるのではなく、発達障害やその他の精神疾患それぞれの症状を総合的に判断したうえで等級が認定されます。精神疾患を併発している場合は医師により診断書に記載してもらう必要があります。また病歴・就労状況等申立書に併発している精神疾患についても必ず記載しましょう。
岸和田・泉州障害年金相談事務所で実際に、障害年金を既に受給した方を一部ご紹介しております。
これまで、障害や病気(うつ病、統合失調、知的障害、がん、難病、脳疾患、糖尿病、手足・人工関節、呼吸器疾患など)でご本人も、ご家族も大変ご苦労をされてこられましたが、障害年金を受給してからは 大きく生活を変えておられます。
いろいろなご家族のお話の中で、もっと早く障害年金のことを知っておきたかった、こんなに悩まなくてすんだのにという声も多くお聞きしております。
もしかしたらと、お考えの方は、岸和田・泉州障害年金相談事務所へご相談ください。経験豊富な社労士が障害年金を受けることができるのかどうかからご相談いただけます。
(相談内容) 幼少の頃より、人見知りが激しく、子供たちの遊び場で一緒に遊べなかった。 小学校高学年になる頃から、学校の授業について行けないことや、周りの友達と馴染めず、不登校気味となる。新しい小学校へ通い出すが、友達とけんかし、不登校になりほぼ引きこもり状態となる。中学校へ入学後一時は学校へ通い始めたが、担任から「なぜ出来ないんだ!」の一言で学校が恐怖に...
年齢:20代 / 性別:女性 / 受給等級:2級/年金額:約78万円 / 遡及額:
(相談内容) 幼少の頃より、周りとのコミュニケ-ションが苦手で、孤立することが多かった。 上手くコミュニケ-ションを取ることができず、いじめや嫌がらせを受けることが多かった。 医師より休職を勧められ、一時休職するも、その後退職となる。家族との口論となることも多く、多量服薬により道ばたで倒れ通行人に救助され救急搬送される。それ以降も急に自宅にて倒れるように...
年齢:20代 / 性別:女性 / 受給等級:2級/年金額:約78万円 / 遡及額:
(相談内容) 身内での不幸があり、その直後から自殺の妄想がはじまった。負の感情が高まると、壁や床を拳で殴る癖がついた。浪費癖も強くなり使って良い金額が把握できず、カ-ドロ-ンの残高が貯まっていった。結婚後初めて一人で家事をしようとするが、何をどのくらいの時間でどの順番で行えば良いのか指示してくれる人が居ないので、時間の余裕をなくし泣き出すことがあった。病...
年齢:20代 / 性別:女性 / 受給等級:2級/年金額:約78万円 / 遡及額:
(相談内容) 幼少の頃より、級友とのコミュニケ-ションをとることが苦手で、周りに馴染めなかった。 集団行動が苦手で、ほとんど友達ができなかった。勉強などでわからないことがあれば暴れて、手を付けられなかった。高校入試に対して、担任が「頑張れ」と応援してくれることに対して、自分は「頑張っているのに」と思い一瞬でやる気を失う。 その後、障害者枠のアルバイト職員...
年齢:20代 / 性別:男性 / 受給等級:2級/年金額:約78万円 / 遡及額:
(相談内容) 幼少の頃より、級友とのコミュニケ-ションをとることが苦手で、周りに馴染めず、中学1年生は登校しましたが、中学2年生のときから不登校になり、そのまま卒業する。高校もなんとか卒業し、アルバイトに挑戦しましたが、人との関わりがしんどいと言って、1日で辞める。知り合いの勧めで精神科の受診を勧められ、1件目のクリニックを受診し診断の結果、社交不安障害...
年齢:20代 / 性別:男性 / 受給等級:2級/年金額:約78万円 / 遡及額:
(相談内容) 幼少の頃より、周りとのコミュニケ-ションが苦手で、孤立することが多かった。また、自分の思い通りにならないと物を投げつけ暴れることが多くありました。学校を卒業後、障害者施設へ就職すると、上司より発達障害があるのではないかと指摘されたが、発達障害ということがよくわからずそのままにする。その後、職場内での人間関係のトラブルが有り、うつ症状が出現し...
年齢:20代 / 性別:男性 / 受給等級:3級/年金額:約100万円 / 遡及額:
(相談内容) 事務職として働いていたが、仕事量が増加し体調をよく崩すようになった。次第にイライラや不眠症状が強くなり、かかりつけの内科を受診する。うつ症状があるので抗うつ剤と眠剤を処方される。不眠・過労・イライラが強くなり公共の場で暴れてしまうこともあって、警察に保護される。このような症状から心療内科受診を勧められて、初めて心療内科を受診する。診断の結果...
年齢:40代 / 性別:男性 / 受給等級:3級/年金額:約58.5万円 / 遡及額:
(相談内容) 学校を卒業後、一般企業に就職をしたが、他人とのコミュニケ-ションや人間関係が上手くいかず思い悩み退職する。再度就職するが仕事が遅いなどと、上司より叱責され、再度退職する。その後は対人恐怖症の症状が出現し、就職できなくなり将来に対しての漠然とした不安から精神状態が悪化し、心療内科を受診することとなる。うつ病と診断され10年以上うつ病の治療を行...
年齢:30代 / 性別:女性 / 受給等級:2級/年金額:約78万円 / 遡及額: